ある仕事先で、今日出会った年配の女性。いろいろな話を話してくれました。
「コーヒーを飲んでから運動をすると目が回ってしまう」「娘に肩を揉まれると目が回ってしまう」「孫に背中を揉まれると目は回らない」「美容院でシャンプーしてもらうと目が回ってしまう」話したいことがたくさんある様子で、すごい勢いで言葉が出てきます。「私は、あるスポーツクラブに行っている。そこでこんなことをやっている」「家ではこんなことをやっている」
「他にはどんなことをしたらよいですか?」と、その女性は聞いてくる。
しかし、言葉がどんどん出てくるという事はその女性は正しい答えがほしいだけではなく、話を聞いてほしい。ただそれだけ。
年を重ねることで、1から10まで話を聞いてくれる人は減ってくる。さらに、褒めてくれる人なんてほとんどいない。そんな方の話に耳を傾けて寄り添ってみる。すると、表面的には見えてこない、ひとりひとりの心の奥底にある「本当の想い・本当の気持ち」というものが見えてくる。
「私が行っているスポーツクラブのスタッフさんはペチャクチャお話をしているだけで、仕事をしていない」「好きなお客さんとは20分くらい話しているのに、私とは全然話してくれない」「10年以上通っているからか、使い方も教えてくれない」などと、通われているスポーツクラブのお話が始まった。
きっと、見てほしいのです。気にかけてほしいのです。どんなちっぽけなことでも良いので、話かけてほしいのです。
私「週に何回通われているのですか?」
女性「週に5回くらい行っているわ。」
私「週に5回も通われているのですか?すごいですね!」
女性「そんなふうに、褒めてくれる人どこにもいないわよ。娘がたまに褒めてくれるだけ。スポーツクラブのスタッフさんなんて全然褒めてくれないわ。お世辞でも褒めてくれれば、やる気も出るのよ。」
私「雪が降ったり、雨が降った時はどうやって通っていますか?」
女性「そういう時は車で通って、いつもは自転車で通っているわよ。雪が降っても休まないのよ。」
私「それはすごいですね!でも、雪が降ると道も滑るので気を付けてくださいね。」
という形で、とにかく口から出てくる話を全て聞きました。そして、最後に
私「今、やっている運動や習い事、自分を信じて続けていくことが大切だと思います。新しい情報を無理に取り入れなくても今やっていることをコツコツ続けていくことがとても大切ですよ。」と一言だけお話ししました。
答えはいらないのです。「話を聞いてほしい。ただそれだけ。」そんな気持ちの方が世の中にはたくさんいます。そんな方に寄り添って話を聞くだけの仕事があっても面白いのではないでしょうか。話し相手もいない。たまに人と会えば話を聞く立場になってしまい、全然話を聞いてもらえない。ただ話を聞いてもらって褒めてほしい。認めてほしい。承認欲求を満たしたい。
私は、その女性が笑顔で帰っていく姿を見て、出会えてよかったな。と心から思いました。またどこかで、お会いしましょう!