「フィンテックで銀行が潰れる」という言葉を皆さんも聞いたことがあるかもしれません。しかし、日本では事情が異なりそうだと言われています。今回は、フィンテックと銀行についてお伝えしていきます。
《日本と米国の金融事情の違い》
アメリカでは18世紀後半の独立前から、金融の世界の主役は役所ではなく民間だったようです。
「決済」や 「送金」の機能や、取引の安全を守る「セキュリティ」も民間の手で築かれました。アメリカ合衆国の政府が日本の日銀にあたる中央銀行、FRB(連邦準備銀行)を設立したのは1913年のことです。ようするに20世紀に入ってからです。それまで米ドルの紙幣は民間の銀行が印刷、発行していたようですが、日本の銀行制度は最初から役所が金融をコントロールしました。円のお札を発行する日本銀行が設立されたのは1882 (明治15)年。これが、米国と日本の銀行の始まりの違いです。わかりやすく言えば、民のアメリカ、官の日本。
政府に頼らずに国民が国を発展させてきた「自由の国」アメリカ。「上の方たち」がお手本を示して、国民はその通りにやっていればうまくいった日本。まさに文化の違いです。
日本ではフィンテック企業は金融機関のパートナー
ベンチャーが旗揚げしやすいのは、アメリカの方です。
フィンテックベンチャーも、金融機関よりはアップルのようなハイテク企業やeBayのようなベンチャー、スターバックスのような消費者と直接関わる小売や飲食の企業と提携して、そのビジネスを拡大させていきました。そのため、ゴールドマン・サックスやシティーバンクに代表される金融機関とはビジネスが競合して、ライバル関係になることが少なくありません。
一方、日本の場合はお上の方々が民にお手本を示す文化なので、フィンテックはベンチャーではなく、メガバンクと呼ばれる三菱UFJ、みずほ、三井住友などの金融機関がアメリカの事情を調べて研究して手を伸ばし、それを国がバックアップする形で始まりました。
日本の金融機関は競ってフィンテックベンチャーのサービスを自らの陣営に取り込もうとしていますから、両者の関係はライバルではなく、友好的な協力者なのです。
ですから、よく聞かれる「フィンテックで銀行が潰れる」という言葉は、お互いがライバル関係にあるアメリカに当てはまる話です。日本にいる金融機関の利用者としてはどんな会社が、どんな斬新なフィンテックサービスを始めるか?に関心を持つのも面白いと思います。
ただ、日本の金融機関とフィンテックベンチャーの関係がこのまま友好関係の状態を続けていくかは、未来のことなので何とも言えません。
引き続き状況を見守っていきましょう!